補足しておくと、よく音圧という言葉で表されるスピーカーの
性能があり、最近音圧の低いスピーカーが結構多く、
しかしなかなか音楽のニュアンスを感じさせるスピーカーもあり
非常に多くの方が音圧の低さを気にしなくなっている様に思う。

しかし、問題はこの”音圧”という言葉で表される性能である。
音圧というとある一定のボリューム時に発せられる音の大きさだと
理解出来るが、スピーカーの場合一昔前まではこの”音圧”という
言葉ではなく、”能率”という言葉が同じ性能の項目として
カタログなどに載っていた。

”能率”とは”感度”と同義である。

そう、スピーカーに於ける感度の高さは「どれだけ小さな音楽信号を
再現出来るか」という事に他ならない。
一体どの様に?
チャンネルディバイダー 言葉を変えればアクティブネットワークである。
スピーカーに内臓されているネットワークをパッシブネットワークと言うが、チャンネルディバイダーは電源を必要とするアクティブ回路となっており、ゲインを持っているのである。

スピーカーに内臓されているパッシブネットワークでは一番能率の低いユニットはウーファーであることがほぼ全てだと思いますが、
ウーファーなら並みのユニットではせいぜい90〜91dB程度が限界であることが多く(一部の高能率ユニット除く)
パッシブネットワークがゲインを持たない事から、他のウーファーより能率の高いユニットもウーファーと同じ90〜91dB程度まで能率を下げて使わないと、各ユニットの音圧が揃わない。

そう、シングルアンプでのパッシブネットワーク使用はそのスピーカーの最低能率のユニットの性能に全体の性能が大きく左右されるのである。

これが、一つの問題である。
では、何故ゆえそれでもマルチアンプなのか。
一言で言ってしまえば、マルチアンプの前ではバイアンプも
トライアンプも比較の対象にすらならないからである。

誤解の無きよう付け加えれば、きちんとセッティングされた
マルチアンプシステムの前ではいかにバイアンプ、
トライアンプであろうとも、その圧倒的な実在感の前に、
否が応にも聴き劣りしてしまうのである。
マルチアンプシステムとはウーファーやスコーカー、
ツィーターなど、各スピーカーユニットに1台づつ
パワーアンプを繋げてスピーカーを駆動する方式の事である。




















なかちゃんの考えるマルチアンプシステム
について

マルチアンプシステムとは何か?

話が非常に長くなったので、この続きの私の10年間の
マルチアンプとの激闘の記録はその3にてお話ししようと
思います。

その2.5へ続く

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チャンネルディバイダー?

それは一体どの様なものなのか。
このチャンネルディバイダーこそ、マルチアンプの心臓部である。
(厳密にはプリアンプもだが)
ここで、3WAYマルチアンプシステムなら、ツィーター(高音)、
スコーカー(中音)、ウーファー(低音)へと信号が分けられるので
ある。
私自身もマルチアンプの音質に納得いくまで10年余りの歳月を
費やしたのである。
なかなか、音がまとまらず音楽が音が苦になっていた時期もある。
しかし、そんな時でも未完成のマルチアンプが聴かせる音に
可能性を見出し、苦労を続けたのである。
その甲斐あって、現在では3WAYの各ユニットが一体となり、
見事に音楽を奏でているのである。
まるで目の前で演奏が行われているかの様に。

その2

マルチアンプシステムでは、まずこのパッシブネットワークが
存在しない。
要はスピーカーユニットとパワーアンプが直結状態になっているの
である。
直結状態になっている事により、各ユニットはネットワークによる
影響や能率低下の影響を受ける事なく、100dBなら100dB、
110dBなら110dBその性能を100%発揮出来るのである。
そして、各ユニットの能率差はパワーアンプの前に繋がっている
チャンネルディバイダーによってコントロールされるのである。
よく性能の良い(音質の良い)サブウーファーは中低域付近の
音も殆ど出さず、本当の低域しか再生していないが、
似た様なイメージをして頂ければ分かり易いのではないかと
思います。
即ち、シングルアンプ方式におけるパッシブネットワーク内臓
スピーカーは一番性能の低いユニットに合わせて作られているので
ある。
往々にしてウーファーよりはるかに能率の高いスコーカーや
ツィーターはその性能を充分に発揮出来ないでいるのである。
各パワーアンプが受け持つ周波数帯域が狭いことから、
広帯域再生時にどうしても避けられない混変調歪みが
非常に少なくなるのである。(なくなる事は原理的にない)

この混変調歪みが音質にもたらす影響はかなり大きいらしく、
私も測定など出来ないが、マルチアンプにする事で音の濁れが
一気に減り、粒立ちのよさや立体感、そして音楽の実在感が
恐ろしい程に向上するのである。
一度この変化の大きさに気づくと、もうマルチアンプの呪縛から
逃れられなくなってしまうのではないかとさえ思う。

それ程までに、凄さを感じるのである。

しかし、ここまでなら、20から30年ほど前にあった
マルチアンプブーム時代に皆が嵌った世界である。
問題はこの後である。

ここまで読んだだけなら、じゃあ自分もやってみようかな、
と思える様な話である。

しかし、ここが入り口。

この後に精神衛生上最悪な日々が待っているのである。
CDプレーヤーから出た音楽信号はまずプリアンプへ入力される。
そして、インピーダンス整合と若干の電力増幅というシステムに
とって非常に重要なプリアンプでの信号処理を受け、
次にパワーアンプではなく、チャンネルディバイダーへと
その信号は出力されるのである。
まず、再生ソース。これは通常のシングルアンプシステムと
何ら変わらない。
CDならCDプレーヤーがあればそれでいい。
次にアンプはプリ、パワー別体のセパレートアンプとなる。
では、マルチアンプの構成について、私なりの解説をさせて頂こうと思います。
しかし、かつて多くの方がそのマルチアンプに挑戦し、
あまりの調整の困難さ、デリケートさに悩まされ、
遂にはマルチアンプへの期待を失い、時にはマルチアンプを
否定するまでに至った事は、現在もマルチアンプで音楽を
楽しんでおられる方なら理解しているであろう。
マルチアンプの真髄とはその様なものである。
しかし、それだけではバイアンプやトライアンプと
同じではないか、という意見が聞こえてくる。もっともである。
マルチアンプとはそれだけではないのである。
バイアンプやトライアンプでもシングルアンプ駆動に比べれば
はるかに音質は向上し、音に厚みや実態感がかなり加わって
くる。
面倒なのが嫌ならば、これらの方式は非常に有効である。
パワーアンプを追加する費用だけで、セッティングなどの苦労は
殆どないと言って良いだろう。
更にチャンネルディバイダーはパワーアンプの前にある。
ここも重要である。
マルチアンプをよく知らない方が最も見落とす所である。

パワーアンプの前にアクティブネットワークであるチャンネルディバイダーがあるという事はパワーアンプも周波数の帯域制限を受けて
いるという事である。

どういう事か。

例えば、低域用のパワーアンプについて考えると、周波数に
決まりはないが、私のシステムを例に挙げると、
チャンネルディバイダーの低域と中域のクロスオーバーは
800Hzに設定されている。
カットオフの鋭さを決めるスロープ特性はー24dBである。
アナログ回路のチャンネルディバイダーとしてはかなり急峻である。
平たく言えば低域と中域の”かぶり”が非常に少ない状態のことで
ある。