なかちゃんの考える
マルチアンプシステムについて

フルレンジスピーカーから
マルチウェイスピーカーへ


スピーカーユニットが単発のフルレンジスピーカーなら
1つのユニットが音楽信号の全帯域を再生するため
スピーカーとアンプはスーピーカーケーブルを介して
ダイレクトに接続され、アンプから出力された音楽信号が
そのままユニットに入力されるので、色付けの少ない
生々しさを感じさせる再生音を得る事が可能である。

しかし、フルレンジスピーカーにも弱点はあり、
1つのユニットで音楽信号の全帯域を再生する事は
非常に困難であり、低域がある程度までしか出なかったり、
高域方向もある程度以上伸びない。
また、再生困難な帯域の音楽信号が歪んでしまう事も
考えられる。

とは言っても歪みなどはあまり気にされる事なく、
フルレンジスピーカーの再生可能な帯域内で
音楽の持つニュアンスは充分に伝わってくるのも事実である。

しかし、フルレンジユニットで再生困難な周波数帯域までをも
きちんと再現すれば音楽はよりダイレクトに、より生々しく
感じられるに違いない。

そのため、スピーカーユニットの数を増やし、低域の再生に
適した特性を持つユニットや高域の再生に適した特性の
ユニットを組み合わせる事で、再生周波数帯をより広げようと
2WAYスピーカーや3WAYスピーカーの様な
マルチウェイスピーカーが作られる様になった。

しかし、ただ単にいくつかのユニットを一緒に鳴らすだけでは
それぞれの音質はばらばらで能率(この場合分かり易く言うと音量)もまちまちなため各帯域で音が揃わず、再生音が
音楽として成り立たなくなってしまう。
それだけでなく、例えば低域再生に重点を置いて作られた
ウーファーユニットなどはある周波数より高い周波数の
音楽信号が入力されれば再生音は歪んでしまうし、
高域再生に特化したツィーターユニットなどは高い音の再生は
得意でもユニットの再生可能な周波数より低い周波数の
音楽信号が入力されれば、歪むだけでなく破損してしまう。

なぜなら、高域信号は低域信号に比べ信号(音波)の振幅が
小さくユニット自体が前後方向に動くストロークは
あまり大きくは作られていないし単位時間の振動回数も
周波数に比例して多くなり、ストローク(振幅)が大きいと
振動回数も稼げない。
そこへ振幅の大きな低域信号が入力されれば、ツィーターの
ストロークが許容量を超えユニットが破損するのである。

こういった種々の問題を解決するためマルチウェイスピーカー
にはネットワークという一種のフィルター回路が挿入されるので
ある。

ネットワークの働きは、ウーファーに対してなら高域側の信号をカットし、ツィーターに対しては低域信号をカットする。

この時、ウーファーとツィーターの能率(この場合、音量と考える)を合わせ、各ユニットの合成信号が全帯域でフラットに
なる様、クロスオーバーさせる。

これで広帯域の再生が可能なスピーカーが出来上がったので
ある。

だが、これで全てが解決した訳ではなかった。

もともと、違うユニット同士を繋げる訳だから、やはり無理も生じ
る。
各ユニットの合成波形を完全にフラットにするのは困難で
クロスオーバーポイントで歪みが生じる、ユニット毎に音色が
揃わないなどの問題が発生し音楽本来のニュアンスが
きちんと伝えられなくなってしまう。
他に位相特性などの問題も発生したりする。

いくら広帯域再生が可能になっても、音楽の感動が薄まって
しまうのでは本末転倒である。

なかにはこれらの問題を感じさせない優れたスピーカーも
勿論存在するがごく少数派である。

実際には現在発売されているスピーカーの殆どは
マルチウェイスピーカーであり、これらの問題を差し引いても
楽しく聴けるスピーカーはそれなりにあるので
あまり気にする事はないのかも知れない。

ただ、各ユニット間の繋がりが良くなってもフルレンジスピーカーの様にネットワークのないスピーカーとは音楽がダイレクトに
伝わる印象というか生々しさというか
そういったものにまだ差を感じるのである。


音楽信号を余すところなく再現するために広帯域の再生能力
は欲しい、かといってネットワークは使いたくない。

そこで出てくるのがマルチアンプシステムなのです。


その2に続く

何故、マルチアンプシステムなのか?

その1

マルチアンプシステムといっても
今流行のサラウンドシステム、
いわゆるマルチチャンネルシステムの
事ではない。
ではマルチアンプとは一体何なのか、
出来るだけわかりやすく説明しましょう。

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